明るい闇

みなさんこんばんわ
今日はスタッフのナッキーがお送りいたします。

いきなりなんですけど、私、大昔山小屋で住み込みのアルバイトしていた事がありまして。
毎日、仕事の合間の休憩時には、ベンチの上で昼寝とかしてて、通りすがりの登山客に笑われたりしていました。

山って、昼と夜では全く見せる顔が変わります。
山の中には街灯なんてもちろん無いから、夜は当然真っ暗闇。
最初はその暗闇がすごく恐かったんだけど、だんだんと、闇は恐いものではないって事が解ってきて、
夏はみんなで暗闇の中を歩いて、蛍の幻想的な乱舞を堪能したり、夕闇せまる山の中で、一人ぼんやりたたずんでいた時に感じた、圧倒的な草花の気配。
みんな、生きているんだ。
人間以外の、たしかな息づかい。

そうしてバイトの期間が終わり、私は東京に戻り、また別のバイトをしたりして、ずっと山の空気感など忘れて過ごして生きてきました。

結婚して人生のパートナーも得て、子供にも恵まれて、真夜中でもずっと明るく照らされる都会で、この先もずっと生きていくのかと思っていたら、私達の人生に、ひとつの転機が起こりました。

中村正とその家族は、東京ではなく、山の中にアトリエを持って、自然あふれる環境の中で、五感をフル回転させながら生きていこうではないかという思いにいたり、その方向で行動していこうという事になりました。

その土地には、別荘族と呼ばれる人々もいて、夜は闇を嫌って家の明かりをめいいっぱい照らすのだとか。
しかし地元の人は、なるたけ闇の中にとけ込むよう、最小限の明かりにとどめるのだと、何かの本に書いてありました。

私は最近、ずっと忘れていた、明るい闇について、よく考えるようになっています。
きっと楽しいに違いない、何にもない生活。
多分そのうち、このブログでも、山の生活の事、リポートできるでしょう。
きっとずっと私の心の奥にしまってあった、本当の幸せが、この先の人生に待っているのかもしれません。

私、寒いのって大嫌いなんだけど、最近山によく出向く機会があるので、いやがおうでも冬の山と向き合う事になってて、でも、いざ冬山に身を置いてみると、しーんとした静寂の中、目の前に広がる冬枯れの景色が、この世で一番美しいものに見えるのです。
それでは最後に、山のホテルから見た、冬の朝の景色をお伝えして終わります。

それではまたー