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2020年 05月 31日
すっかり寝坊してしまった。
子供たちの学校が先週から始まって、早起きの日常が戻ってきたけれど 週末になって、一週間の緊張の糸が緩んだのか、いつまでも眠い眠い日曜日の朝。 今日はどんより曇り空。 山の上からさあーっと濃い霧が降りてきて、もうすぐうちの窓辺もすっぽり包まれてしまいそう。 と、思っていたらパラパラパラ〜と軽い音を立てて雨が降ってきた。 あったかいチャイでも飲んでのんびりしよう。 大学生の長女は、オンライン授業が始まって三週間くらい経った。 山梨に滞在しつつ大学の授業を受けている 私の日々の楽しみは、長女の受ける授業を、一緒になって聞くこと。 今年彼女が選択した授業は、どれも面白そうな授業ばかり。 英米映画論。とか、庭園から日本の文化を学ぶ授業だったり、民俗学における写真というツールを使った記録物について。とか 少女論とかいう授業もあった。 そして、2年次から始まるゼミは演劇ゼミを専攻して、これからたくさんの舞台を観てレポートを 書いていくことになるんだそう。 オンライン授業でできることにも限りがある。 早く世の中が落ち着いて、みんなが街に、大きな世界に飛び出していける日が来て欲しい。 五月はそんな風に、日常と非日常がゆらゆらしながらうごめいて 相変わらずしゃっきりしない日々だったけれど ある日、私たちの元に、一冊の本が届いた。 ああ、思えばその日も日曜日で、大雨の日だった。 しっとりとした霧に包まれて、我が家の木のポストの中にいつの間にか到着していた。 「チキュウニ ウマレテキタ」 という本。 送り主は、著者である小西貴士さん。 私たちは、彼のことをgoriと呼ぶ。 ゴリ。ゴリラ? 彼を前にして決してそのような印象があるなどとは言いませぬ。 とにかく彼を知っている人ならみんなgoriと呼ぶ。大人も。子供も全員呼ぶ。 goriは森の案内人であり写真家。 幼い子供たちと森の深部まで遊びに行き、人、昆虫、植物の種を超えた生命の営みを写真に 撮り続けている人。 そんな彼とは、我が家の末っ子が通う森の中の保育園で出会った。 そして彼の写真を通して、親の目のとどかない森の奥が、どれだけのワンダーな場所なのか、 その中で子供たちは、命をどんなにか燃やしていたのかという衝撃を受けることになるのだ。 チキュウ二 ウマレテキタ 雨二 風二 雪二 木二 花二 虫二 獣二 山二 川二 海二 石二 土二 炎二 芽吹キ二 実ノリ二 死二 人二 ソダテラレテキタ チキュウ二 ウマレテキタ チキュウ二 ソダテラレテキタ こんな風に本は始まって、 地吹雪の鳴る雪原で、大地の向こうを見つめる一人の子供の写真。 極寒の森で滝の水が凍りつき、巨大な氷柱と化している様を目の当たりにする男の子。 目玉がすっかり落ち窪んで、内臓は腐り、肋骨がむき出しになっている鹿の死体に そっと手を置く男の子。 水かさを増した盛夏の川で、濁流を物ともせず大きな岩の間を忍者のように飛び回る子供。 美味しい山葡萄を怪獣のように丸呑みにしている女の子 その全員が、まだ小学校にも上がっていない、小さな小さな命たちなのだ。 そして、この本の何ページか目に、我が家の末っ子の写真が載っている。 まだまだ儚くて、都会からこの深い森の中に放り込まれて間もない頃の、 薄く張った氷みたいに繊細だった末っ子の写真が載っている。 本の中の娘は、夢中で泥だんごを一列に並べ、葉っぱをさして遊んでいる。 彼女にとっての森は、楽しさなんてものよりも、自然の恐怖、野蛮さ、危険な世界だったと思う。 よく泣いていたのを思い出した。 それが少しずつ森が怖い場所ではなくなって、森の中で過ごす知識を獲得し、 危険な虫、触ってはいけない植物、食べていい実など、卒園する頃にはとてもたくましくなっていた。 本の中にも、山の頂上に立つ子供の素晴らしい写真があるが、 年長さんになると、冬の山に登山して、その頂上から一気にソリで降りてくるという行事があった。 言葉で聞いた時もすごいなあーと思っていたけど、 改めて本の中で山の頂上の画像が目に入ると、 ええ?こんな高い場所からソリで降りていくの? もうびっくり仰天!!こんな小さな子供達が!! 森の中のワンダー。 命の躍動に、本当に感動する本になっている。 我が家の末っ子は、今や小学六年生。 森の中で過ごした時間はとんと遠い記憶になっているかもしれない。 しかし、彼女の中にはしっかりと種が撒かれているということを家族はみんな知っている。 末っ子の容姿は、一見か細くて、髪の毛なんか栗毛のクリクリ天然パーマ。 ちょっと女の子らしいワンピースなんて着た日にゃあ、どこの妖精さんかしら?というような外見である。 ところが、実際の中身は、自分のことをオレと呼び、仲良しの友達は全員男子、水道の水を飲むときは蛇口の下に滑り込み、 カパッと口を大きく開けてからの直接呑み。 夢はゲームクリエイターになるべく、毎日キャラクターデザインを考える、まるで小学男子そのものなのである。 時折、森の中での思い出が会話の中に登場することもある。 しっかりと、あの眩しい日々は大切に心の引き出しにあるようだ。 この本は、ぜひたくさんの人に手にとって頂きたい。 子供がいても、いなくても、この地球という星で起こる驚きに満ちた日々を 小西貴士という写真家の視点を通して、ぜひ堪能してもらいたい。 この森の保育園を卒園した子供たちは、すっかり大人になった現在でも、goriと夏のキャンプを 楽しんだり、交流が続いている。 毎年開催される、保育園のお祭りにも、たくさんの卒園児がやってきて、goriと戯れている。 ある時、二人の中学生を引き連れているgoriと遭遇。楽しくてしょうがないというムードの三人。 私に、「こっちの子は、今までで俺が一番手を焼いた子なんだ。そんでもう一人の子は、二番目に手を焼いた子!!!」 あっはっはっー!! と笑って、その後三人は肩を組んで記念撮影をしていた。 人は、愛情が必要というけれど、 子供たちにたくさんの愛情を持って、常に森の中で一緒に過ごしていたgori でも、子供たちは、愛をもらってばかりの存在ではない。 子供たちからも、goriに愛を送っていたのだ。 そのことは、写真を見ればわかる。 goriと子供たちの距離を見ればわかる。 会えなくても、心で想っているのだから。 そんな奇跡の出会いをすることができて、幸せだなあ。 「チキュウ二 ウマレテキタ」 小西貴士著 風鳴舎 絶賛発売中です。 あ、雨が止んだみたい。 霧が去って、いつもの山並みが見えてきた。 さ、おやつにしよーっと。 今日のおやつは、デカプリン!! ナッキーでした。
by nakamuratadashi
| 2020-05-31 15:07
| 日々のこと
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